× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 新刊の感想を書いて、またアニメがずいぶん原作のとこまで追いついてきたこともあって、前の自分の感想を読み返したら、24巻でも大総統のことはネタバレになるから次に譲るって書いてある(笑)
24巻のCMにも使われた、「私の城に入るのに~」の辺り、本当にぞくりとするほど大総統カッケーと思いました。
強い。怖い。ほとんど勝ちを確信したところに、たったひとり乗り込んできて、それをひっくり返す。 そこには「ノーマル」たちだけじゃない、グリードもいるのに、フーやバッカニアが犠牲になって、それでも殺せない。 彼は再生しない(のよね?)、年も取る。その反面恐ろしいほど強い。たぶんホムンクルスの誰より。 神様を信じず、人も信じない。何も必要としない。 何となく、大総統が必要としていたのは、「死」なのかなと思いました。彼が再三「神」を口にするのも、それにすがることの無意味さを痛感しているから? 神様も、人も、ホムンクルスたちも、自分を殺せない。時は緩慢にそれを寄越すのだろうけど、そんなものに意味はないんでしょう。自分は戦うために生まれたのだから、戦いの中で身を滅ぼしたいと。 彼は「憤怒」なので、自分を殺せない何もかもに怒っていただろうと思います。もしかしたら死ねない自分にも。 壊すっていう言い方は自分をモノとして見た言い方だと思う。 死をも恐れぬ云々の最たるものって大総統だよなあ・・・。守るべきものが無い彼は、誰より強くて当たり前なのかも。 その彼が口にした、人生という言葉。 正直、彼の最期には戸惑いしか覚えませんでした。 ランファンに問われて「あれは私が選んだ女だ」 うん、知ってる。前も言ってたもんね。あの台詞にはさすがにドッキリしましたよ。いい台詞だった。 あの時、大総統にも守るべきものがあるんだと思った。思ったっていうか夫人のために戦うことがあるのかもしれないと思った。 でも何か、今回はあの女は王のために死ねるだろうって言ってるように聞こえた(読んだ)。 それはある意味間違ってない。大総統には何も守るものが無いっていう点で。 でも、遺言はいらないって、それは本当にそうだろうか。 大総統夫人だもの、そりゃ覚悟はあったと思うよ。立場を追われるかもしれないこと、命を狙われること、離れ離れに死ぬかもしれないこと。 でもその覚悟を持っていることや、悲しみを余人に悟らせないことと、悲しくないことは違う。 愛だの悲しみだのを垂れ流すのが人間で、あんたの嫁はその人間でしょうが。 遺言が無いことを、諦めることは出来る。王の妻ってそういうものかもしれない。 大総統夫人は強い人だ。「国が自分達を見捨てたのか」と同時に「主人が自分を見捨てたのか」を問うことが出来る。もしかしたら、王のために死ぬことも厭わないかもしれない。 でもそれが悲しくない訳ではないと思う。 出来るなら、「余計な遺言など要らぬ」という『遺言』が伝わればいい。 そうすればきっと大総統夫人は「王たるものの伴侶」として、悲しみを隠して立っていられるだろう。 ・・・・・・・・ブラッドレイがそこまで計算してたっていうんだったら、それもいいんですけど、ね。 でも多分、彼は本当に遺言なんていらないと思ってるような気がする。 そこにある絶対的信頼自体はいいと思うんですが、用意されたレールの中で、彼は本当に自分のことを「王」だと思ってたんだろうかっていうのも考えちゃうので、何となく釈然としないのです。 最期の「良い人生であったよ」っていうのは、大総統が最後に人間であることを選んだっていうことなんでしょうか? 私としては、何か知らないけど結構満足して死んでいってるよこの人!みたいな。 単に、勝手な奴、で終わっちゃわない?それ?みたいな感じ。 何となく落ち着かない。彼はホムンクルスだったんだろうか、人だったんだろうか。 そのどれでもない「王」だったんだろうか。でもそれも与えられたものでしかない。いつか崩壊する国の王。 いつか贄に差し出されてしまう国の王。 彼は「何」のための王だったんだろう。ブラッドレイ夫人が「アメストリス国王夫人」だったことは間違いないのに。 彼が「王」だったのは、むしろブラッドレイ夫人のためだったのかもしれないな。それが偽りの王であろうとも、彼女にとっての王であれれば、それでよかったのかもしれない。 もしもそうなんだとしたら、なんだか凄く凄く悲しい。 PR この記事にコメントする
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